• インアンドヤン、物事は陰と陽のバランスからなり、
    相反するもので宇宙がなりたつ、という中国の思想。
    見えない部分までが完成されてこそ一級の商品、
    を哲学に、シンプル&ベーシックなスタンダード・モード。
  • インアンドヤン ネクストは、次世代の若者をターゲットに、
    時代にマッチしたカジュアルウエア。
  • ワイツー インアンドヤン スポーツは、スポーツテイストに、
    モード感覚のトレンドを融合させた、ハイブリッドスポーツウエア。

80's DCコンセプトブランド



DC ブランドの時代


日本の経済は、50年代から70年代にかけての高度経済成長を経て、80年代には、安定成長期に入りました。 大量生産が定着化し、皆が豊かで同じ ものを持つようになり、消費者は、他とは違う自身のライフスタイルを 求め、多品種、少ロットで、ライフスタイルや価値観に合わせてモノを作ることが求められました。

ファッション業界では、この流れは70 年代からすでに起こっていました。原宿などのマンションメーカーの 登場や、PARCOは新鋭デザイナーにテナントを提供していました。このような新鋭デザイナーは、大手量産 型のアパレル企業が手を出さない個性的なデザインを発信しました。

最も成功したのがコムデギャルソンとヨウジヤマモト。その他、フォークロア調のピンクハウス、ヨーロピア ンテイストのニコル、サブカルチャーの影響を受けたタケオキクチ、コムサ・デ・モード、などが登場し、 それらはDCブランドと呼ばれました。

80 年代初頭には「anan」や「POPEYE」などの雑誌を中心とするメディアが取り上げるようになり全国に広ま りました。PARCO や丸井に はDCブランドを求める若者の長蛇の列が見られ、社会現象として取り上げられ ました。モノトーン、ワイドシルエットが特徴の一つとしてクローズ アップ、着用者は「カラス族」と呼ば れ、DCブランドの店舗の販売員は「ハウスマヌカン」と呼ばれて、人気職種にもなりました。

DCブランドとは何か

80 年代ファッションにおける「DC」とは“ デザイナー& キャラクター” の略です。「デザイナーブランド」、 「キャラクターブランド」をひとくくりにしてDCブランドと呼ばれていました。「デザイナーブランド」と は、デザイナー個人が主導し、デザイナーの感性とネームを前面に押し出したブランド(イッセイ・ミヤケ、 ユキコ・ハナ イ、ヒロコ・コシノなど)です(デザイナーネームを使用しないケースもある。コムデギャル ソン、ワイズ等)。これに対し「キャラクターブランド」は、メーカーが独自のイメージをブランドに付与し 企画から売り場まで統一したイメージのもとに展開したブラン ドです(パーソンズ、フランドル、ペイトン プレイスなど)。これらは、幅広い顧客を狙うそれまでのブランドづくりとは異なり、ターゲットを絞り込み、 他ブランドとの違いを際立たせることで顧客を獲得しました。

「インアンドヤン」はDCブームの真っ只中で登場したブランドです。ブランド名は「陰(Yin)」と「陽 (Yang)」の思想を意識したもの。 人気俳優やタレントのメディアでの着用で大きな注目を集めました、「リネ ア・フレスカ」はリネア・ブルーと呼ばれた斬新なカラーとシルエット、「インセンス」はロックミュージシ ャンが係った孤高のイメージ、「ギャラモンド」は、確かなテイラーリングで、それぞれに洋服好きの若者の 支 持を集め、当時の人気ブランド「タケオキクチ」「ニコル」「メンズ・ビギ」「ジュン・メン」「アーストン ボラ-ジュ」等とともに、メンズモードブランドとして人気を博しました。

DCブームの終焉

いわゆるDCブームの全盛期は80年代半ばまで。大手アパレルも競ってDC開発に取り組み、DCは雨後の タケノコのように市場に登場しました。この世の春を謳歌したDCブランドでしたが、80年代後半からのバ ブル景気に伴う高級品志向の前に急激に落ち込み、イタリアブランドを中心としたインポートブームに取って 代わられます。

DCアゲイン

80年代後半には一部を除き総崩れとなった「DCブランド」でしたが、10年の時を経た90年代後半に「DC アゲイン」というキーワードの下に幾つかのブランドが“復活”します。若い頃、DCブランドを着用した、 団塊以降の世代を取り込んで、80 年代モードの復活はムーブメントとなりました。幾つかは、淘汰さ れまし たが、21 世紀になり、新しいコンセプト、ディレクション、デザイナーを取り込むことで、名門ブランドと して、生き残り、ライセンス商品として市場展開を拡げ、再び注目を集めつつあります。なかでも、「インア ンドヤン」はスーツやカジュアルウエア、ビジネスシューズのライセンスブランドとして、かってのファンよ り若い顧客の獲得に成功しました。その伝統に加えて革新を怠らず、DCブランドは今後も未来に向けて成長 を続けます。